[OPアンプ] 基本増幅回路3種
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反転増幅回路
回路構成
- 入力電圧は、抵抗R1を通して反転入力(-記号側)へ。
- OPアンプ出力を、抵抗R2を通して反転入力へ(負帰還)。
- 非反転入力(+記号側)は、GNDへ。

原理
抵抗R1, R2の部分を見ると、、、
- R1には入力電圧Vin、R2には出力電圧Vout。
- 接続点Vmは、VinとVoutの分圧。
-
OPアンプの負帰還では、反転入力と非反転入力は短絡と考える(仮想短絡)。
しかも、今回は、非反転入力は接地しているので、反転入力も接地している(仮想接地)。
以上より、分圧してVmを求めると、
Vm = (R1 x Vout + R2 x Vin) / (R1 + R2)
仮想接地により、
Vm = 0
なので、
(R1 x Vout + R2 x Vin) / (R1 + R2) = 0
R1 x Vout + R2 x Vin = 0
R1 x Vout = - R2 x Vin
Vout = - (R2 x Vin) / R1
Vout = - (R2 / R1) x Vin
したがって、出力電圧 Vout は、入力電圧 Vin を、R2 / R1 倍して、反転させたものとなる。
特徴
- 入力に対して、出力が反転する。
(反転させたくない場合、回路を2段直列につなぐこともある。) - 減衰も可能。
(R2 < R1 とすることで、増幅率が 1 より小さくなり、減衰動作となる。) - 抵抗値の選定は、各部品の特性を元に決める。
- OPアンプの入力2つが共に 0V 固定(仮想接地で反転入力も0V)なので、回路の特性が良好で、応用回路に使いやすい。
- 仮想接地(Vm=0)により、Vin側から見ると、R1を介してGNDに接続している。
これは、回路の入力インピーダンスが R1 であり、Vin / R1 の電流が流れる。
つまり、電圧降下により、入力電圧が正しく伝わらない可能性がある。 - 回路の出力インピーダンスは、ほぼ 0。
(負帰還により、出力電流が流れても、出力電圧は変化しない。つまり、出力電流が流れても、出力電圧の電圧降下はない。)
非反転増幅回路
回路構成
- 入力電圧は、非反転入力(+記号側)へ。
- OPアンプ出力を、抵抗R2を通して反転入力(-記号側)へ(負帰還)。
- 反転入力は、抵抗R1を通してGNDへ。

原理
抵抗R1, R2の部分を見ると、、、
- R1はGND、R2には出力電圧Vout。
- 接続点Vmは、VoutをR2とR1の分圧。
- 非反転入力には、入力電圧Vin。
- OPアンプの負帰還では、反転入力と非反転入力は短絡と考える(仮想短絡)。
以上より、分圧してVmを求めると、
Vm = ( R1 / (R1 + R2) ) x Vout
仮想短絡により、
Vm = Vin
なので、
Vin = ( R1 / (R1 + R2) ) x Vout
Vout = ( (R1 + R2) / R1 ) x Vin
Vout = ( 1 + R2 / R1 ) x Vin
したがって、出力電圧 Vout は、入力電圧 Vin を、1 + R2 / R1 倍したものとなる。
特徴
- 入力に対して、出力が反転しない。
- 増幅率は1倍以上(減衰はできない)。
(1 + R2 / R1 にて、抵抗値が何であれ、「1 +」により必ず1以上となる。) - 入力電圧Vinが変動しても、負帰還により、変動に追従する。
- 回路の入力インピーダンスが極めて高いため(OPアンプの入力インピーダンスは非常に高く、入力電圧VinはOPアンプ直結)、信号源に不要な電圧降下を生じる心配がない。
- 回路の出力インピーダンスは、ほぼ 0。
(負帰還により、出力電流が流れても、出力電圧は変化しない。つまり、出力電流が流れても、出力電圧の電圧降下はない。)
電圧フォロワ
回路構成
- 入力電圧は、非反転入力(+記号側)へ。
- OPアンプ出力を、反転入力(-記号側)へ(負帰還)。

原理
電圧フォロワは、増幅率1倍の非反転増幅回路。なぜなら、、、
- R1を∞、R2を0Ωとした非反転増幅回路と見なせる。
- R1が∞、R2が0なので、R2 / R1 は 0。
- 非反転増幅回路の増幅率は、1 + R2 / R1 だが、R2 / R1 が 0 なので、増幅率は 1。
特徴
非反転増幅回路の特徴と同じ。
- 入力に対して、出力が反転しない。
- 増幅率は1倍。
- 入力電圧Vinが変動しても、負帰還により、変動に追従する。
- 回路の入力インピーダンスが極めて高いため、信号源に不要な電圧降下を生じる心配がない。
- 回路の出力インピーダンスは、ほぼ 0。
つまり、
- 増幅率1倍 → 信号源の電圧を変えずに、そのまま出力する。
- 入力インピーダンス極大 → どんな信号源の電圧でも、電圧降下なく正しく入力できる。
- 出力インピーダンス 0 → 出力先のどんな負荷にも、電圧変動なく出力できる。
このことから、電圧フォロワは、前後の回路の干渉を防ぐ目的で、回路の入力や出力に利用する。
(電圧を変えずに、大きな電流出力に耐えられるようにする。)
このようなアンプを、「バッファ・アンプ」(buffer amplifire)とか、単に「バッファ」と呼ぶ。